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トンコとおれの冒険 第一話 奥州へ

さてオレ達は辰治さん(玉になっている)と、
トンコと満仲さんになったわけだが、満仲さんは
そのままの格好では目立ちすぎるので、
辰治さんの玉に居候させてもらうことになった。
問題はトンコだった。
エンジンはかかるがまったく反応がないのだ。
まるで魂が抜けてしまったようだった。
辰治さんと満仲さんは話し合っているようだったが、
満仲さんが、
「やはり、あの義昭という坊主が魂を吸い取ったとしか思えぬよ。
そこでだ、奴が鬼切の太刀を奪いにくるのを待ち伏せして、
姫の魂を取り返すのが良い手立てだと思うのだが。」
「うん、それしかないな。ところでさっきから気になっていたのだけれど
姫ってトンコのこと?」
「うむ。それについては改めて話そうぞ。」
「景気よく押し出そうじゃねえかい。ねえ、それにそのなんだ宮城には
たくさんの良い温泉があるっていうじゃあありませんかい。満っちゃんも
いこうよ。」
「満ちゃんとはわしのことか?ははは、まるで朋輩じゃの。それでは
辰っつあんとよばせてもらうぞ。」
「がってんでい。」
満仲さんと辰治さんは仲よくなっている。
さて場面が変わってここは福井の黒竜神社。
妙法院は護摩をたきながら呪文を唱えていた。
青白くしもぶくれした顔を炎が照らしている。妖しげに両目が
光っていた。
「ふふふ。これでこのわしも将軍になれるわ。このような坊主
姿にはもうあきあきじゃ。」
とぶつぶつ独り言をすると右手に人形の紙を持ち、
それに語りかけた。
「登紀子よ、いや姫よ、わしがわかるか?」
「ううう、だれ?私を呼ぶのは?」
「わしよ。妙法院よ。いまからそなたはわしの言うままになるのだ。」
「はい妙法院さま。」
「そなたはここの九頭竜に乗り移り、奥州に行くのだ。」
「そして鬼切の太刀を探してくるのだ。わかったな。」
「わかりました。」
と妙法院の手から光る物がすーっとでて闇のかなたへ
飛んでいった。
「ははははははは。はは。ははははは。」
妙法院の笑い声が響きわたった。
そしてその姿をじっと見ている者がいた。
北畠親房だった。
続く

by caymmi1 | 2008-03-19 16:19 | お話、小説  

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