オレは我にかえってふと時計を見た。いけない仕事をしなきゃあ。
「トンコ、辰治さん、出発するよ。仕事をかたずけなきゃあ。」
「うん、わかった!」とトンコ。
「あいよ。」と辰治さんが続いた。
得意先にいって、仕事を片付けると、会社に電話をし、
箱根方面の仕事がないか問い合わせた。
すると「カチョー」さんが、
「康介クン、明日、御殿場方面で一件あるわね。早い時間の約束なので、
今日はもう帰っていいわ。明日、直接回ってちょうだいね。」
と珍しくありがたいことを言う。
自宅へ向かって走っていると、辰治さんが、
「ちょいと頼みがあるんだが、なにか気の利いた音楽をかけちゃあくれねえかい?」
「辰治さんはどんなものを聴くの?」
「あ~う!ってやつよ、よく手品師が伴奏に使う。」
「ひょっとしてこれかな?」
オレは音楽プレーヤーをカーオーディオにつなぎ、ペレスプラードの
マンボNo5をかけた。
「いよっ、これだよこれ。」
「玉」は空中でくるくる回ったりしている。
「辰治さんはマンボが好きなんだね?」
「おうよ、昔おっかあと良く雲の上で踊っていたんだよなあ、ただね
下界はピカピカゴロゴロ雨ザアザアって訳よ。親父に大目玉をくらってな。」
「辰治さん、けっこう不良だったんだ。」
「若気の至りって訳よ。」
するとトンコが、
「辰治さん、恋愛結婚だったんだ。いいなあ。」
「いやあ、そんなもんじゃあねえって。」と「玉」はそこいらを跳ね回っている。
「あたし、もう恋愛なんかできないんだもん。」
オレはトンコがかわいそうになってきた。トンコには女の子らしいことを
させてあげたい。
「あきらめないでさ、きっとなにか方法はあるさ。」
「おうそうだ、あっしが箱根にいきてえっていったのは、箱根には
あっしの兄貴がいるんでさあ。その兄貴にね力を借りようと思ってね。
それとへへっ、久しぶりに温泉につかりてえ。」
「なあんだ、辰治さんの目的はそれだったのか。」
オレは思わずふきだしながら言った。
続く
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by caymmi1 | 2008-02-28 21:33 | お話、小説

四国出張

最近、ブログの更新が滞っていて申し訳ありません。
それで先日の金曜日、四国は高松、徳島に急な出張になりました。
なかなか四国は行く機会がないので、記録をつけてみました。

AM8.05分 東京国際空港よりJAL1403便にて高松へ

AM9.25分 高松空港に到着

AM10:00 レンタカーにて高松空港を出発、国道11号線を徳島方面
      へ瀬戸内海を見ながら走行。あちこちに菜の花や梅が咲いています。
      途中で「ばいか堂」という和三盆の工房を見つける。

AM12:00 取引先に到着、ちょうど良くタンクローリーが帰ってきたので、
      作業開始、通信試験も完了。

PM01:00 取引先より坂出方面に出発。国道11号線を海沿いに走行。
      途中の魚屋でかますの干物を購入。

PM02:00 高松市を金刀比羅宮方面へ走行。途中で松山方面へ。
      屋島が見えその台形の姿に感心する。

PM03:00 坂出市に到着。少し時間があるので、瀬戸大橋公園で休憩。
      巨大な建造物に驚く。巨大な船がゆっくり進んでいく。

PM04:30 取引先の作業終了。高松空港へ。讃岐うどんが食べたかったが、
      とりあえず空港へ。

PM06:00 レンタカーを返却し、空港の検査を終了。やっと讃岐うどんを食べる。
      空港の売店で「ばいか堂」の和三盆を使った干菓子と、和三盆を
      そのまま固めたお菓子を購入。コーヒーを飲みながら休憩。

PM07:20 6:45分出発のJAL1414便の飛行機が、乗客の検査が遅れたため、
      7:20分出発に変更。機内で落語を聞く。「不動坊」という
      題。三遊亭鳳楽さんという円楽さんの一番弟子。どことなく志ん朝
      さんに似ている。かなりの実力者と感じた。

PM08:30 東京国際空港到着。


高松はすっかり春でした。仕事ながら早春の瀬戸内海を見ながらの
ドライブは楽しかったです。でもプライベートで行きたいですね。
なお来週は徳島に行くかも知れません。



瀬戸大橋は日本の国家プロジェクトでした。やはりこの瀬戸大橋公園
から見ると巨大です。
 
f0107517_14554413.jpg


はるか瀬戸内の島々が見えます。今回は携帯電話からの画像でしたがちゃんと
撮りたいです。

f0107517_14592915.jpg

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by caymmi1 | 2008-02-24 15:01 | 雑感

「あの、あたしホントは宇宙人ではないの。ごく普通の女の子
だったの。あたしの名前は鈴木登紀子っていうの。小さいころから
トンコって呼ばれていたの。」
トンコはぼそぼそとしゃべった。
「人間の女の子が車に乗り移ったんだね?」
トンコはつづけて、
「あたし小さいときから病院でくらしていたのね。それで高3のとき
とうとう意識不明になっちゃったの。でも体から意識が離れて、
病院のそばにあったレンタカ-に乗り移ったの。」
「おまえさん、どこへ住んでなさった?」
「あたし深川なのよ。そこのマンションに住んでいたの。」
「おやそうかい。合点がいったぜ。あそこにゃあ竜神井戸っていってなあ、
あっしも昔はそこに住んでいたんだが、水が枯れちまったり、
地べたの中を電車が通りやがったりしてすっかり住みにくくなっちまって
こっちに越してきたわけだ。なんでも竜神さまが言うには、
おめえさんにずいぶん世話になったてんだが、
詳しいことはわからねえ。なにせ竜神さまは芦ノ湖の箱根神社にいっちまたのよ。」
辰治さんはそう言うとすっかりさめてしまったお茶を飲み干した。
「トンコは今なにか困っていることがあるんじゃないのかな?」
とおれ。
「実はあたしもう死にそうなの。だからどうにかしなきゃって。
ねえ死んだらあたしはどうなるわけ?」
なみだ声になってトンコは答えた。
「うーんそのことなんだがな、あっしら竜神の使いは玉をもっているのさ。
その玉は力をもってはいるんだが、人の命を吹き返すにゃ力が足りねえ
んだ。」
ため息をひとつついて、辰治さんは続けた。
「ひとつ相談なんだがな、あっしをお前さんたちのそばへおいちゃあ
くれねえかい。」
おれは、
「でも辰治さんはこんなに体が大きいじゃないですか!
どうやってぼくらと行動するんですか?」
「なーに心配ねえってことよ、あっしはふだんは水晶玉みてえな玉
になっちめいますから。」
というが早いかたちまち辰治さんはビー球みたいな玉になってしまった。
辰治さんの奥さんが気づいて、
「ちょいとおまいさん、玉になっちまったのかい?ほんとうに
そそっかしいんだから。玉になっちまったら自分じゃあ元に
もどれないんだよ!まったくどうするんだねおまいさん!」
すると「玉」が
「めんぼくねえ。とりあえず芦ノ湖に連れて行ってもらうとありがてえ。」
「わかりました。いっしょに行きましょう。あ、奥さんお願いが
あるんですが、元の場所に戻してもらえませんか?」
とおれが言うと「玉」が、
「んなこたあ訳ない。ちょと待ってておくんない。」
たちまちトンコとおれと「玉」は元の湖畔に戻った。
続く
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by caymmi1 | 2008-02-21 17:36 | お話、小説

みるみる空が真っ暗になり、
なにかがおれとトンコめがけてやってきた。
気づくと4、5メートルはあろうかという生き物が
トンコの前に立ち、大きな目をぎょろつかせて覗き込んでいる。
その生き物は日本画でよくみかける「竜」のようだった。
「うーん」
と「竜」はうなりながらトンコを覗き込んでいる。
トンコは思わず、
「気持ち悪い!」
と小さく叫んだ。
「おっとごめんなすって!」
と「竜」はおれの方を向いて言った。
「名乗りが遅れちまったが、あっしは竜神の使いで、辰治ってんでさあ。」
「あの、竜神さまじゃあないんでしょうか?」
とおれはおずおずと問いかけた。
「いやいやあっしは竜神の使いなんでござんすよ。竜神はすがたかたち
はねえんです。ふだんはあっしは人様には姿をみせねえんですが、
この自動車から不思議な光が出ているじゃあありませんか。
みとれちまってついつい姿を隠すのを忘れちまったってわけです。」
えらく気安い江戸っ子のような竜神の使いだった。
竜神の使い、いや辰治さんは、
「おう、小せえのなにか訳ありだとふんでいたんだが、良かったら
話してみねえかい?」
トンコは
「ひょっとしてあたしを知っているの?」
「おうよ、話してくれるかい。ここじゃあなんだから、
あっしんちにこねえかい?」
といいながら竜神の使い「辰治」さんは、おれとトンコを
しっぽにのせ、湖の神社にある御神体の鏡の中に
吸い込まれていった。
そして大きなお寺の本堂のようなところに着いた。
「おっかあ。いまけえった。客をつれてきたぜ」
「おまいさんお帰り。あらお客様かい?」
辰治さんは大きな門を開け、奥さんらしいいくぶん小さい竜の使い
にそういった。
「どうぞ楽にしてくんない。おいおっかあ茶をたのまあ。こないだ
みてえに熱くすんじゃねえぞ!」
「そんなに大きな声をださなくったって聞こえてるよ!」
奥さんがお茶をはこんでくると、辰治さんは、
「さてと、もったいつけてる訳じゃあねえんだが実はね、今朝竜神
さまが今日人の魂を宿しているものがここいらを通るから力になってやれと
お告げがあったんでサア。」
少しの間しんとしたが、
トンコが沈黙を破った。
続く
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by caymmi1 | 2008-02-20 16:12 | お話、小説

青い小さい車のトンコはいきよいよくエンジンの音を
ぶおーとたてながら高速道路を入っていった。
もっとも音のわりにはスピードはでない。
晴れた空に山並みが遠くに見え、
その方向にむかって、おれとトンコは向かっていった。
「このぶんでいくと、だいぶ早くつきそうだよ。近くに湖があるから
早めのお昼でも食べようか。」
「人間って良いな。食べることができて。」
「あ、すっかり忘れていた。トンコは車だったね。」
「ねえ、あなたのことコーちゃんって呼んで良い?」
「うん良いけど、トンコはまるでガールフレンドみたいだね。」
「ガールフレンドいるんだ?」
「うん、まあね。」
おれはガールフレンドとケンカしてそれっきりになって
いることは話さないでおいた。
「それより、そろそろ高速道路をおりるよ。」
「りょーかい!」
おれたちは高速をおり、白菜畑や住宅がまばらにある
のどかな道を山に向かって走った。
つづらおりの峠道を登りきると、
湖があり、そこは神社の境内ということだった。
湖面はきらきら光り、水鳥たちが羽を休めていた。
おれたちは少しやすむことにした。
おれが車をはなれて自販機で買い物をしていた時だった。
キャーっというトンコの声がした。
なんだなんだなにがあった?とトンコに戻ると
「見て!あのとりいのあたり!」
とトンコは言い、ナビの地図にマークを点滅させた。
なにかが見えた。生き物のようだった。
続く
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by caymmi1 | 2008-02-12 14:25 | お話、小説

おれは少しだまってしまった。
トンコは続けて、
「それで、あなたのお名前は?」
「あ、これは失礼。僕は康介というんだ。コースケだよ。ところで、
車ってしゃべったりするものなんだ?おどろいたなあ。」
「ううん。あたしはほんとは宇宙人なのよ。ただし体はないから
この車の体を借りているの。」
「ふーん宇宙人ねえ。まあいいや。ところでそろそろお客さんのところに行かなきゃ。
ナビはできるかな?」
「それがその、あたし方向オンチみたい。あんまり自信ない。」
「だろうなあ。さっきのナビじゃあね。」
「失礼ね!あたしだって一生懸命なんだってば!」
「OK、地図で見るからだいじょうぶ。ところできょうは山に行くけど
坂道が続くよ?」
「まっかせなさい!坂道なんかすいすいよ!」
「よーしわかった。じゃあ出発だ。」
こうして二人じゃなかった、一人と一車の冒険が始まった。
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by caymmi1 | 2008-02-09 19:20 | お話、小説

さて、皆さんおまたせしました。
お話、「トンコとおれの冒険」第一話を始めたいと思います。


おれ、29歳。名前は康介。東京は中央線沿いに住んでいる。
仕事は部品メーカーの技術営業をやっていて、
毎日出張が多い仕事だ。家族はアパートで内緒で飼っている、
というより同居人のみーちゃん。あわせて一人と一匹だ。
事務所は、「カチョー」とよばれる古株のOLの、としえさん、
新人のななみさん、ベテラン技術社員の安岡さん、(やっさんで通っている)
それにほんとの「課長」とおれの5人だ。
世間的にはまあまあの会社なんだが、
この事務所は昭和20年代に建てられた古い建物だ。
夏はなんとかオンボロのエアコンを入れてしのいでいるけど
冬は石油ストーブで暖房している、今時めずらしい会社だ。
新人のななみさん(ななちゃん)なんかは石油ストーブを見て
どうやって使うかと質問したぐらいだ。
なんでも石油ストーブは使ったことがなかったらしい。
さてさて、あの不思議な車との出会いを話さなきゃ。
そう、あれは今年の夏の終わりだった。
「カチョー」のとしえさんが、
「こーちゃん、(おれはこう呼ばれている)会社の車、こわれちゃったんで、
当分のあいだレンタカー借りといたから。急だったものだからすこし小さいけどがまん
してね。」
「はーいわかりました。」
「カチョー」は滅多にこないホントの課長よりてきぱき仕事をこなす人だ。
逆らえない。
「あ、それからこーちゃん。その車少しヘンなところがあるって。なんでも
ナビゲーションがおかしいらしいって。」
「りょうかい。それじゃあ行ってきまーす。」
とレンタカーの鍵を受け取ると、駐車場にむかった。
事務所の裏にある社員専用の駐車場に、
水色のちいさい車があった。
荷物を積み、ナビゲーションに住所をセットすると、
若い女性の声で、
「これから音声ガイドを始めます。安全運転で走行をお願いします。」
「およそ300メーター先を右に行ってください」
あれれ?この会社から国道の出口は30メーターぐらいしかないよ?
それに右じゃなく左だし。そう思ったおれはナビゲーションの地図を
みて確かめ、音声ガイドの指示ではなく地図をみて運転することにした。
ナビゲーションの音声はあいかわらずとんちんかんな案内をしている。
30分も話したころだろうか、ナビゲーションは静かになった。
そしてそのあと音声ガイドが「ちょっと、ねえ止まって!」
と言ったから、おれは思わず急ブレーキをかけた。
ガイドは続けて、
「ねえ!さっきからどうしてあたしを無視するのよ!」
おれはこりゃいたずらかもしれないと思い、
車を止めてナビゲーションの電源を切ろうと思い工具を手にしたら、
そのとたん、
「やめて!話をきいて!」
との声がした。
さあいよいよおれも気がヘンになったか?自分で気付かず、
声にだして言ってしまった。
「違うの!あなたはヘンじゃあないの。」
しゃ、しゃべった!車がしゃべった!
おちつけ!おれ。おちつくんだ!
なんか胸がドキドキする。
深呼吸しながら、おれはこいつが宇宙人じゃないかと思った。
おそるおそる
「あのうあな、あなたのお名前は?」
なんてとんちんかんな質問をしてしまった。
以外にはっきり
「あたしはトンコ。あなたは?」
これがおれとトンコの出会いだった。

つづく。
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by caymmi1 | 2008-02-02 14:54 | お話、小説

ブラジル音楽中心の雑感
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