カテゴリ:お話、小説( 34 )

高山右近のあの世での茶会に招かれた理絵は、
右近とオルガンティノというパードレに頼み事をされてしまう。

オルガンティノは理絵の目をじっと見つめながら言った。
「あなたに力になっていただきたいのです。」
左近が口を開いた。
「今は詳しくは申せぬ。なぜこのぱあどれ様が同席しているのかもだ。
しかし、これは現実の世を守るためなのだ。そなたならできると見込んだのだ。」

「お言葉ですが、なぜ私があなたたちの力にならなくてはいけないのですか?
私にはわかりかねます。」

思わず言葉に力が入ってしまう理絵だった。

右近はすかさず
「花蝶どのそこだ、そなたが慈しむ世を守るためなのだ。我らのためとはいわぬ。
そなたが愛する人々のためなのだ。」

理絵は訳が分からなくなり言葉がでてこなくなった。右近の有無を言わせぬ
迫力に負けてしまったのかも知れない。

「伊之助でございます。」
と若い男の声がした。右近は一瞥して、
「こちらへ。」とだけ言った。
若い男は木綿の刺し子に袴といういでたちで、理絵の隣に正座した。

「この男は大庭伊之助と言う男だ。武芸一般を修めており、いざという時には
役にたつ男じゃ。これをそなたにつけよう。」

「え?そんな困ります。自分の身は自分で守ります。それに一人暮らしなので、
見知らぬ男性を側に置くなんて嫌です。」
「ははは、武家の姫はそうでなくてはのう。案ずるな、女中をつけよう。それならば良いで
あろう。」

理絵は知らず知らずに右近のペースに巻き込まれていった。

「ではまたいずれ。この度はご苦労であった。」
右近は言い残し、部屋は真っ暗になった。理絵は少し気が遠くなり
気がつくと自分のマンションの部屋にいた。全てが夢のようだったが、
違うのは部屋に3人の女性と伊之助がいたことだった。

伊之助と3人の女性は床に座っていた。
伊之助は、
「大蔵伊之助にございます。ただいまよりわが主の命により、花蝶殿
をお守りいたします。」
3人の女中もそれぞれ名を名乗ったが、理絵の耳には残らなかった。

「皆、下がって良い」
これで良いのかしらと思いつつ、言葉にしてみると、あっという間に3人の
女性は姿を消したが、伊之助だけは「ただいま・・・」と言うのだがいっこうに
腰があがらない様子だった。
「あら、どうしたの?」
「面目ない、なにか食べ物を下されば、壷などに隠れられるのですが。」
ばっかみたい。ハクション大魔王じゃあるまいし。理絵は少し吹きながら、
「それじゃ、おにぎりでも食べる?」
電気釜のごはんを全ておにぎりにし、伊之助に食べさせた。
見ると伊之助は眉が太く、なかなか精悍な顔立ちだったがどこか
あどけなさが残っていた。
「あなた歳はおいくつ?」
「私めは当年18になります。」とおにぎりを頬張りながら彼は答えた。
まだ子供なんだ。なんだか憎めない子ねと理絵は思った。
「食べたらどこかへ隠れてちょうだいね。」
「承知しました。ところであの。」
「どうしたの?」
「明日よりお側に侍いますゆえ、花蝶殿の持ち物に入れて下されば幸いです。」
「分かったわ。それじゃ明日起こすから今日はもう寝てちょうだい。」
「承知しました。」
と言うが早いか伊之助は姿を消した。
続く。
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by caymmi1 | 2011-05-11 15:57 | お話、小説

さて、ずいぶんとご無沙汰しましたが、トンコ〜のお話の続きです。
前回、理絵は「南坊」という得体の知れない人物から茶事の招待を受けてしまいます。
なにか心を引かれてしまった理絵は茶事に行く洋服選びをしています。

翌日、仕事を早くきりあげるとマンションへ帰った。
茶事!なにを着ていこうかな?
クローゼットの前でしばし迷ったが、プリーツのついた白いブラウスとグレーの
パンツスーツを選んだ。
地味かなあ?でも派手なものは合わなそうだし。ま、これでいいか。
でもすこしさびしいな。と感じつつなにげなしにアクセサリーボックスを開けると、
蝶の形をしたアクセサリーが「私を使って」といわんばかりに目に入って来た。
それは本物のモルフォ蝶を使い銀で縁取りをしたものだった。
理絵はそれを皮紐につけてチョーカーにした。
支度が済むと少し緊張が解けたのか理絵は眠くなってしまい、
ベッドに腰掛けるとそのまま居眠りをしてしまった。

「もうし、花蝶どの。もうし。」
すこしくぐもった女性の声で理絵は起きた。
ベッドの脇に小袖を着た若い女性が自分を呼んでいるのがわかった。
「花蝶どの。わがあるじからの使いでございます。」
「あ、ごめんなさい私寝ちゃってた。すぐ支度しますね。」
すこしびっくりしたが、この女の人がどこから来たか?ということはあまり
理絵は不思議には思わなかった。
「ところでこれからどちらへ伺うの?」と理絵が女性に聞いた。
「案じる事はございませぬ。この鏡からわがあるじの屋敷へ案内いたします。」
と案内の女性は化粧台の鏡に向かって歩き出した。
理絵は彼女の後を着いて行き、鏡に入った。

薄暗い和室に理絵は立っていた。案内の女性の姿はどこにもなかった。
「良く参られた。花蝶どの。本来であれば吾が茶室へ案内するのだが、あいにくと
修理中での。して実は引き合わせたいお方がいるのじゃ。」
先日、吉祥寺であった男だった。しかし今は見違えるように立派な着物を着ていた。
そして傍らには西洋人が質素な法服の身なりで正座していた。
「このかたはうるがんばてれん様じゃ。どうしてもそなたに会いたいとのことじゃ。
さて花蝶どの、名乗りがおそくなってしまったが、今は南坊と申すが、またの名を
高山右近と申す男じゃ。非礼をお詫びする。」
と男はそういうと西洋人のほうへ目を向けた。
法服を着た西洋人は微笑みをうかべていった。
「私はオルガンティノと申しますが、まわりでは、うるがんばてれんと言われています。
花蝶どのはこんなに美しい人とは知りませんでした。あなたに会えてとてもうれしい。」
理絵は思わずくすっと笑った。この人はどうもラテン系みたいだなと思った。
「実はあなたにお願いがあります。少したいへんなことです。」
そのオルガンティノと呼ばれる男は少し顔を曇らせて言った。

続く
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by caymmi1 | 2010-10-22 22:06 | お話、小説

妄想 宮城県限定

突拍子も無い妄想です。(宮城県限定)
もし、7時のニュースが宮城県地方の言葉になったら?
という思いつきです。

「おばんなりすたー7時のニュースでがす。」
「おばんでがす。7時のMHKニュースでがす。」
「まんず中国がいきなりごっしゃいてるつーニュースでがす。こいつはMHK解説委員の
牛 胆二郎さんさ解説してもらうべっちゃ。牛さん、なじょになってんだべか?」
「こいつはね、まず中国の漁船がトラブルおこして日本の海上保安庁さ船長が逮捕されたんだと。
したっけまあ中国の首脳がごっしゃくこどあったんだと。ここはなぬ日本の海でねーんだおん、
逮捕なんですんのっしゃ?と、こーいうんだおんね。んで日本は、なぬっこの!そこはおらいんとこだー、
漁船ぶつけてきだんだおん逮捕してあたりめだっちゃーつーことなんだねー。
したっけ中国はむつけて、いーんだおんレアアース輸出してやんねーんだおん、いーんだおんねー
ってかたって日中関係が悪くなったんだと。したっけ日本ではあわてて、んで釈放すっからっしゃーって
船長釈放してしまったんだど。」
「んでどうなったんだべ?」
「中国はまだむつけて、んで日本人逮捕すっぺっちゃーつーことで、逮捕したりしたんだと。
野党からはなんで船長釈放したのすか?おらいのとこだっていったすぺ?話しあぺとぺだっちゃ!と
いう反応だおんねー。」
「んだすかー今後の見通しはどうなんだべ?」
「まーず両方でごっしゃいてもわかんねから、首脳同士で話し合いすんだべなー。
なじょなことになんだか今のとこわがんねねー。」

こーしてみるとなんだか子供がだだをこねてるような感じですなあ。あ、MHKとは宮城放送協会の
略です(デタラメだよーん信じないようにねー)。

ではでは。

次はいよいよ「トンコ」ですよー。
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by caymmi1 | 2010-10-15 16:14 | お話、小説

「あれカチョー!いつの間に戻ってたの?」
とななみが声をかけた。
理絵は一瞬、夢でも見ていたのかと思った。
「あ、うんちょっとね。」
と言うのが精一杯だった。
「ねえカチョー、さっきの十字架カチョー持って行った?テーブルにあったと
思ったのだけれど、気づいたら見あたらなかったの。」
「ええ、あの十字架のアクセサリー、持って帰って家において来ちゃった。」
「それなら良かった!無くしたかと思ったわよ。ねえカチョー何かあった?、顔色悪いよ?」
「ちょっと疲れたみたい。悪いけど先に帰るね。」
「うん良いけど、珠子さんと食事したいな。あたしの家に泊まってもらって良い?」
「ええ、良いわよ。じゃあ明日ね。」
理絵はすっかりにぎわいの戻った吉祥寺駅からタクシーでマンションに戻った。
帰宅すると、玄関のドアに紙のようなものが挟まっていた。
照明をつけると、それは巻き紙で、毛筆で書いてあった。
「くろたかちやうとの
みやうにちよはなしなとしたく
そちやをさしあけたく候
ついては案内のものなとつかわし候
南坊」
理絵は何度も読み返し、それが茶事の招待状だと分かった。
茶事!え、でも何を着ていけば良いの?
着物なんてないしどうしよう?
理絵はその茶事が何を意味するか分からないまま、なぜか惹かれるようなものを感じた。

続く
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by caymmi1 | 2010-03-12 17:42 | お話、小説

さて、久しぶりにお話の続きです。

前回は「カチョー」の理絵は、ななみちゃんと珠子さんと、薔薇のついた十字架のことで、
話し合いをしていましたが、途中で「慶彦」と会ってしまいます。そして・・・

涙をぬぐい、ななみちゃんと珠子さんのいる店に急いだ。
サンロードにつくと、普段は賑わっている筈のアーケードはひっそりとしていた。
不安を感じ、携帯電話をとりだしたが、「圏外」の表示だった。

「何よこれ!」
理絵は店に急いだ。しかし店の照明はついておらず、人の気配は
感じられなかった。
とりあえず帰ろうと思いその場を離れようとしたその時、
男の低いが良く通る声が聞こえた。

「またれよ!しばしの間、話しをせぬか?」
店のドアをあけると、男は、ぼうっとした光をしたものを持ち、
今しがたななみちゃんや珠子さんが座っていた席にいた。
男は口ひげをたくわえ、柔和な顔をしていたが、目には力があった。

緊張した理絵の口からは、

「どなた?」
と問いかけるのが精一杯だった。

「これは無礼であった。吾はジュスト、ドン・ジュストと申す。」
「正義?」
理絵は反射的にそう答えたのだが、なぜ口をついて出たのはわからなかった。

「安堵した。実はな、それは合言葉なのだ。南蛮語を分かる本邦人はそうはおるまいからの。」
男は続けて言った。

「このクルスはお前様のものじゃな?」
男はテーブルの脇においた薔薇と十字架のついたネックレスをとりあげた。
そして慶彦が自分にくれたネックレスを見た。それは今まで気付かなかったのだが、
まさしく「ロザリオ」だった。

「ええ、そうです。」

男はそのロザリオをためつすがめつ見て、

「これは囮じゃ。失礼ながらお前様が持っていると身が危うい。吾が預かろう。」
「あのう、伺いたいのですが、わたしとあなたは何か関係があるのですか?」

男は、しばし考えていたが、やがて
「お前様は自分のご先祖様を知っておるかの?」

理絵は思い出すように言った。
「ええと、おじいちゃんは江戸っ子だったけど、そのまたおじいちゃんはコウシャクっていうのかしら、
偉い人だったという話を聞きました。」

「それは家譜でも見ぬと詳しくはわからぬが、このぱあどれ様より拝領したクルスはたしかじゃ。
それが光のがなによりの証拠じゃ。」

さらに男はこういった。

「さて、今宵も更けた。吾は南坊と申しての、お前様を茶に招待しよう。さて重ね重ね無礼じゃが、
お前様の名はなんと申すのじゃ?」

「理恵、理屈の理に絵と書きます。それで理絵」

「りえか、理に絵か。して通名はいかがした?」

「あ、あだ名ですね。ではカチョーと呼んでください。」

「しかと承知した。では冥界の茶会に招待しよう。後に使いの者をやろう。では、いずれ。」

と言い残し、ロザリオの光が消えあたりは真っ暗になった。理絵は一瞬気が遠くなった。
気が付いてみると、

「あれカチョー!いつの間に戻っていたの?」
とななみちゃんの声で理絵は我に帰った。


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さて、ジュストとは何者でしょうか?ヒントの画像です。
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by caymmi1 | 2010-01-13 11:07 | お話、小説

カチョーはコンビニに着いたが慶彦を見据えて、
「ちょっとどうしたのよ慶!」
「シッ、しずかに。ほうらやはりな。」
慶彦はコンビニの店内の照明にとまどっている不審な人物を見やりながら言った。
「一体どういうことよ慶。わたし怖いよ。」
「理絵、俺が先月プレゼントした十字架を持っているか?」
「ううん、おいてきちゃった。みんながいる場所に。」
「いいよ、俺も一緒に行く。車で行こう。」
車中で慶彦は、
「理絵に渡した十字架はちょっと訳ありなんだ。」
「訳ありってどういうこと?」
「ありゃあインドのムンバイだった。妙な親爺から買ったんだよ。そしたらそれ以来
妙なやつらにつきまとわれてな。自分が持っているより理絵に持ってもらった方が
良いと思ってな。」
「私を利用したの?」
「ま、そういうな。あれのおかげで大きいネタを掴めるかも知れないってことだよ。」
「慶、なにか知っているのね?」
「そういうことだ。だけどな我々の新生活には必要な金にはなるだろうな。」
「私、なんかやだ。そんな慶は嫌い!」
「理絵、現実を見ろよ少しは。」
「止めて!もう降りる!」
カチョーは車を降りて走り出した。折しもにわか雨がふりだしていた。
構わずカチョーは走った。カチョーの頬は濡れていた。それは雨だけのものではなかった。
続く
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by caymmi1 | 2009-10-24 21:08 | お話、小説

電話はコースケだった。
「あ、カチョー?詳しくはあとで話すから、今いる場所を動いてはいけないよ。すぐそちらへ行くから。」
「え、どういうこと?コーちゃん。」
「実はカチョーがいる場所、たぶんカチョーの持ち物かなにかだと思うのだけど、
異常に強い電磁波を感知したんだよ。今、吉祥寺にいるんでしょ?」
「うん。」
「そして悪い事に、様々なものがカチョーの方に向かっている。」
「わかった。コーちゃん後でくるんでしょ?」
「なるべく早くいくからね。」
カチョーはななみちゃんと珠子さんにコースケからの電話の内容を伝えた。
「あ、いけない!」
カチョーはうわずった声をあげた。
ななみちゃんが、
「カチョー?どうしたの?」
「ううんなんでもないんだけど、ちょっと用事を思い出しちゃった。」
「用事?」
「うんちょっとね。あの、ちょっとだけ家に戻ってくるね。すぐ戻ってくるから!」
「え、動いちゃいけないんじゃないの?」
「すぐもどるから!」
カチョーが住んでいるマンションは井の頭公園のすぐ近くの連雀通りにあった。
実は皆に言えない訳があった。今日は慶彦が家に寄る事になっていた。
慶彦はフリーのカメラマンだったが、携帯がきらいでカチョーが電話をしても、ほとんど
連絡はとれないのだった。定期的に慶彦はカチョーのマンションを訪れていて、今日はその日だった。
カチョーは小走りに階段を駆け上がっていった。
しかし、その後を黒いものが後を追っているのにはカチョーは気づかなかった。
「慶ちゃんたら、もう!」
カチョーはもちろんあだ名であり、本名は黒田理絵と言った。
慶彦からはプロポーズされていたのだが、理絵は離婚経験があり、再婚には二の足を踏んでいた。
今、皆には話せないと思いマンションで慶彦を捕まえようとおもったのだった。
息を切らしながらマンションの玄関の暗証番号を打ち込もうとしたそのとき、
背後から強い力で抱きすくめられ、カチョーの口はふさがれた。
「理絵、声をだしちゃいけない!慶だよ。」
カチョーは目を見開いたままうなずくと、慶彦は口を離し近くにあるコンビニに
カチョーを連れて行った。
続く
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by caymmi1 | 2009-10-04 15:06 | お話、小説

コースケが家にきた翌日、カチョーは珠子さんと出勤した。
カチョーは、濃紺のボタンダウンのブラウスに黒のチェックのスカート、
ヒールが低めのパンプス。珠子さんは白いスタンドカラーのブラウスにジーンズ、
茶色いコインローウァーといういでたちで出勤した。
珠子さんの服はカチョーから借りたものだった。

会社のロッカールームで二人は制服に着替えながら、
「すっかり寝入ってしまってごめんなさい」 珠子さんが謎めいた微笑で
カチョーに話しかけた。
「昨日のことは覚えてないみたいね。」 にっこりとしてカチョー。
「ええ、そうなんですが私なにかしたんでしょうか?」 けげんそうに珠子さん。
「ううんいいの。それより今日ちょっとつきあってくれる?」
「ええ、つきあいます。ところでこのブラウス素敵です。」
「どういたしまして。これ私のお気に入りなの。」
仕事が終わり、カチョーとななみちゃん、珠子さんの三人は
吉祥寺のサンロードにあるJAZZバーへ行った。
れんが造りの店内にはグランドピアノが置いてあり、ふだんはライブが
行なわれているのだが今日は予定が入っていないようだった。
ビル・エヴァンスのワルツ・フォー・デビーが低く流れている。
三人は入り口近くの大きなテーブルにすわり、
カチョーはななみちゃんに珠子さんの今までの経緯を説明した。
ななみちゃんは身を乗り出して聞いていた。
「ななちゃん、この話どう思う?」
「えっと、まず明智 玉っていうのは細川ガラシャ夫人のことね。だから惟任日向守って
明智光秀のことなの。というのは玉は光秀の娘だから。」
「ふーんそうなんだ。あ、珠子さん少し横向いていてね。」
カチョーは帆布製のトートバッグから薔薇の付いた十字架のアクセサリーを
取り出し、ななみちゃんに見せた。
「これを見て珠子さんがおかしくなっちゃった訳」
「ふーん、あ、これ薔薇十字団の紋章みたい。ちょっとまってね」
ななみちゃんは自分のピンクのデイバックから、
手帳をとりだした。
「あ、やはりそうだよ、これは黄金の夜明け教団の紋章と同じものだね。」
そのときカチョーの携帯が鳴った。
続く
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by caymmi1 | 2009-09-24 10:40 | お話、小説

物理学者のスタニスラフ・スクラヴァチェフスキー(スタさん)と
辰次さん一行はコースケと満仲さんのもとに到着した。
「ただいまかえりやした。ええこの通り学者さんと、カラスの清十郎さんをおつれしやした。」
「おお、辰っあん、ご苦労じゃったの。」と満仲さん。
スタさんがあいさつをした。
「はじめまして、わてはスタニスラフ・スクラヴァチェフスキーと申します。あ、スタさんで結構だす。」
「これはこれは、わしは満仲と申します。よくぞ参られた。」
と満仲さんがねぎらい、そしていままでの経緯をスタさんに説明した。
突然、コースケの携帯が鳴った。カチョーからだった。
「あ、もしもしコーちゃん?今、良い?」
「うん、大丈夫だけど。」
「珠子さんのことなんだけど、ちょっと話がしたいの。」
「うん、よいけど珠子さんはそっちにいるんでしょ?」
「そうなんだけど、ちょっと不思議なことがあって、もし良ければ、
コーちゃんだけでも家へきてくれないかなあ?」
「うんわかった、すぐ行くよ。」
コースケは満仲さんにカチョーのもとへ行くことを告げ、
トンコと一緒にカチョーの家へ向かった。

カチョーのマンションはすぐにわかった。
部屋はきれいに片付き、玄関には小さなリトグラフの静物画が
あった。
「ごめんなさいね、コースケくん。呼び出したりして。コーヒー飲む?」
「ありがとう。頂きます。」
とカチョーは襟付きの白いブラウスに細身のジーンズ姿でキッチンに立った。
ほどなくマグカップに入ったコーヒーがテーブルに運ばれてきた。
「ところで、不思議なことってなにかあったの?」
「うん、珠子さんがこちらへついてから彼女とおしゃべりしてたんだけど、私がテーブルにだしておいたネックレスをみたとたん、おかしくなっちゃってなにかうわごとをしゃべりだしたの。」
「うわごと?」
「そうなのよ。自分は本当は『明智 玉』だっていうのよ。」
「あけち?」
「ええとそうそう父は惟任日向守光秀だっていうのよ。」
「ふうん、これは明日ななちゃんに聞いてみた方が良いね。」
「そうよね。ところで彼女が見て変になったのはこれよ。」
とカチョーが持ってみせてくれたのは十字架にバラが巻き付いた
アクセサリーだった。
「うーん謎だなあ。これもななちゃんに見せたほうが良いね。」
「ところですごく良い部屋だね。玄関にかざってある絵も良いし。」
「あら、コースケ君って趣味がいいのね。あれ長谷川潔のリトよ。」
「いや作者はわからないけど、好きな絵だよ。あ、そろそろ戻らないと。コーヒーおいしかったよ。」
「どういたしまして。じゃあ明日ね。」
カチョーはコースケに笑顔を向けた。
コースケは満仲さんのところへ戻った。
続く
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by caymmi1 | 2009-09-19 19:42 | お話、小説

このところずっと中断していたお話「トンコ〜」を再開します。
そのため「サンバの話」は少しお休みします。
さてさて前回は満仲さんが珠子さんの体に乗り移った新田義貞の奥さんに
会わせるべく、そのような研究をしている学者さんをさがしに辰治さんとその奥さん
に茨城に行ってもらいました。途中、妙なカラスと一緒になった辰治さんたちは小田城址
に着きました。

「あ、ここやここや小田城址と書いた石碑がある。」
とカラスが石碑を見つけました。
「おどろいたね。あの字が読めんのかい?てえしたもんだ。ときに、
こっちはまあ名乗るほどの者じゃあねえんだが、龍神の使いの辰治てえます。
良かったらおまえさんの名をききてえんだがね。」
「おおこれは名乗りがおくれました。清十郎と申します。」
「で、ここにいるのは連れ合いの、ええとおっかあ名前はなんだっけ?」
「しっかりしとくれよおまいさん!花だよ花、お花だよう。」
「おっといけねえそうだった、いよう日本一!」
「なにが日本一だよ!おまいさんこそ日本一おつむがあったかいんだから!」
「はっはっはっ、おまえさま方はおもしろいのう」
とそのとき石碑の後ろのほうになにやら緑色をしたものが動いていた。
「あれはなんやろ?確かめたろ。」
と清十郎さんは飛んで行きました。
緑色のものはどうやらカエルの着ぐるみのようでした。
「もうし、気わるくせんといてほしいんやが、あんたここでなにをしてますねん?」
着ぐるみのカエルはすこし動きが止まりましたが、やがてカエルの頭を脱ぎました。
すると東欧系の白人らしい顔が出てきました。
「わても驚きましたわ。カラスがしゃべるなんて。ところで、今は地磁気を測っておるんだす。」
その白人の男は答えました。
「わしは清十郎いいます。こうみえても昔は熊野大社の使いのカラスでな、なあに
人の言葉くらいはしゃべれます。ところでこういうわけで学者はんをさがしとるんやが、
あんた、学者はんとちがうやろか。」
「わたしの名はスタニスラフ・スクラヴァチェフスキーというもんだす。たしかに物理学者
でおます。」
「どうも大変な名前だねえ。覚えられねえや。時にお前さんはえらい学者さんなのかい?」
いつのまにかそばまできていた辰治さんはその学者の人に問いかけた。
「いや、スタさんで結構だす。ところでそちらさんも見ると、龍の格好のようですが、
もしかすると龍神さんかなにかだすか?」
「いけねえ名乗りがおくれたが、あっしは龍神の使いの辰治と申します。」
とスタさんは納得が言ったかのように、地磁気が乱れている場所であること、
時空間のホールができ、この場所から異次元と交錯している可能性があること、
そしてなにより龍神やカラスがしゃべっていることがその証拠だということを説明した。
「スタさんひとつ頼みてえことがあるんだが、いまから東京へ行ってもらいてえんだが。
なあにあっしの肩に乗ってくれりゃあひとっ飛びなんで。」
「それ昔からあこがれていたんだす。ネバーエンディングストーリーなんてね。」
ずいぶんノリの良い学者さんですが、こうして学者さんは満仲さんとコースケがいる東京へ
向かった。
続く
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by caymmi1 | 2009-08-09 12:33 | お話、小説

ブラジル音楽中心の雑感
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