敬愛する歴史家 1

僕がなぜ歴史にひかれるのか。それは、
歴史というもののなかに、いくつも真実があるということです。
唯物史観から見た歴史、近代経済史から見る歴史、戦史のように、
地政学を絡めた歴史、文化人類学から見た歴史などです。
あるいは日本であれば少し乱暴ではありますが、講釈師(講談)
が語る戦記ものなどがあります。
よくhistoryはhis-storyだなんて言います。
本当かどうかはわかりませんが、妙に納得してしまいます。
さて、世界には沢山の歴史学者や作家など、歴史家が沢山います。
今回とりあげるのが、イタリアのユダヤ系の歴史学者である、
Carlo Ginzburg(カルロ・ギンズブルグ)さんです。
1939年トリノ生まれ、長くボローニャ大学で教鞭を取っていましたが、
1988年より米国UCLAで教授をされています。
初めてこの方を知ったのは、「ベナンダンディ」という著作で、
イタリアの農耕儀礼がいかにして魔女の集会儀式とみなされていったか、
というものでした。他にも「チーズと蛆虫」では16世紀の異端審問に現れた、
粉挽き屋の不思議な世界観の研究、ユーラシア大陸のシンデレラなどの、
寓話、神話の中にあるシャーマニズム研究の本である「闇の歴史」などの
書籍を通じてでした。
彼の特徴は歴史の研究に、構造主義の文化人類学的手法を取り入れたことに、
あります。従前の史学では見過ごされていた、神話、寓話を重視し、
異端審問や魔女裁判に現れる供述に見られる儀礼や神話などに注目しました。
彼の研究でもっとも評価されるべきなのは、そのヒューマニズムです。
決して読みやすい本ではありませんが、一度読んでいただければ、
根底に流れる、人類愛が感じられることと思います。
また彼は決して反教会や反キリスト教ではないことです。
そのような教条的な史観とは無縁なところに彼の偉大さがあると、
僕は思っています。



闇の歴史 せりか書房

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チーズと蛆虫 みすず書房 イタリアの異端審問に現れた、一介の粉挽き屋が語った
仰天の創世神話です。結局、彼は死刑になりましたが、彼の世界観はキリスト教が
浸透する以前のシャーマン信仰の名残りだとする研究です。

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by caymmi1 | 2007-06-30 09:10 | 雑感


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