トンコと俺の冒険 題二話 薔薇と十字架 5

「あれカチョー!いつの間に戻ってたの?」
とななみが声をかけた。
理絵は一瞬、夢でも見ていたのかと思った。
「あ、うんちょっとね。」
と言うのが精一杯だった。
「ねえカチョー、さっきの十字架カチョー持って行った?テーブルにあったと
思ったのだけれど、気づいたら見あたらなかったの。」
「ええ、あの十字架のアクセサリー、持って帰って家において来ちゃった。」
「それなら良かった!無くしたかと思ったわよ。ねえカチョー何かあった?、顔色悪いよ?」
「ちょっと疲れたみたい。悪いけど先に帰るね。」
「うん良いけど、珠子さんと食事したいな。あたしの家に泊まってもらって良い?」
「ええ、良いわよ。じゃあ明日ね。」
理絵はすっかりにぎわいの戻った吉祥寺駅からタクシーでマンションに戻った。
帰宅すると、玄関のドアに紙のようなものが挟まっていた。
照明をつけると、それは巻き紙で、毛筆で書いてあった。
「くろたかちやうとの
みやうにちよはなしなとしたく
そちやをさしあけたく候
ついては案内のものなとつかわし候
南坊」
理絵は何度も読み返し、それが茶事の招待状だと分かった。
茶事!え、でも何を着ていけば良いの?
着物なんてないしどうしよう?
理絵はその茶事が何を意味するか分からないまま、なぜか惹かれるようなものを感じた。

続く
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by caymmi1 | 2010-03-12 17:42 | お話、小説

ブラジル音楽中心の雑感
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